2018年11月14日、兵庫県佐用町の県天然記念物「大イチョウ」を見学しました。樹高は29メートル(環境省「日本の巨樹・巨木」近畿版)。
イチョウのすぐそばに線路が走っており、それもおもしろいかもしれないと思い、駐車場について前日「佐用町役場・商工観光課」に問合せた
ところ、「役場の駐車場でよければ駐めてください。大イチョウまで徒歩10分ほどかかりますが」とおっしゃっていました。広い駐車場でした。
柿
 
京都嵯峨野、奈良明日香村などのふつうの民家の土塀越しにふつうに見られる柿の木は、兵庫県佐用町へ行くと大きさが違います。
大木なのです。幹は太くないのですが背は高い。
柿
 
枝が伸びている位置に手は届きません。柿をとるには長い脚立が必要です。このあたりの柿はおおむね甘柿。
 
奈良は甘渋半々といいますが、山辺道の柿は渋柿。手の届くところなら収穫されています。渋柿は干し柿になる
ので、収穫は遅れるというわけです。柿は季節もの、秋しか食べられないので頻繁に食しております。
 
関西地方では岐阜の富有柿が一般的です。が、甘くておいしくて安いのは新潟の「おけさ柿」、鳥取の「西条柿」。
柿は奈良時代より食されていて、学名も「カキ」。身体によい成分も豊富です。
 
大イチョウ
大イチョウ
 
イチョウをみる前、「佐用・花だより」をもらおうと町役場に寄りました。
商工観光課の担当者がいうには、午前中いっぱい強風が吹いて
イチョウの葉が4割くらい落ちたそうです。
 
行ってみたらそのとおり、いっぱい落ちていました。
入口は2ヶ所あって、私たちは車の通れない狭い小道から行きました。
 
町役場を出て少し歩き、道ばたの空き地で何用か動いていた中年女性に
近道についてたずねたところ、あります、けど坂が急なのでと言われました。
 
行ってみたら全然、ゆるやかな坂でした。年寄りにみられたか。
 
 
日当たりのよくない部分は黄緑色。
 
佐用といえば兵庫県立西はりま天文台。季節を変えて7回行き、夜8時から始まる観望会で土星、木星などを天体望遠鏡でみました。
西はりま天文台の屋上から眺める天の川、北斗七星、オリオン座、はくちょう座はすばらしかった。もちろんガイドさんが解説します。
 
町役場の職員が、天文台へ上る道路は先日の暴風雨による崖崩れのため封鎖され、別ルートの細い車道しか利用できないとか。
天文台に電話し進捗状況ををたずねたところ、「つい先日、道路復旧工事がはじまった」ということでした。完了日は未定だそうです。
 
イチョウの葉はもみじのようにひらひらと風に舞わず、はらはら落ち、その場にうずたかく積もる。そうはならないもみじが
方々から来て仰山に積もり、踏みしめるとカサカサと音を立てるのは晩秋〜初冬の風物詩です。
音なしの構えのイチョウでも、ギンナンは焼くもよし、茶碗蒸しもよし。皮をむくとちょっとくさい匂いはするけれど。
 
イチョウ
イチョウ
 
イチョウの木は智頭(ちづ)急行・智頭線&JR西日本・姫新線「佐用駅」の北600メートル弱のところに立っています。
 
 
掲示板の樹高は28メートルになっており、環境省の計測と1メートルの差があります。縮んだり伸びたりするのかな。
高さ35メートルと記しているブログもありますが、環境省や佐用町観光協会公表の数字と大差があって、信ずるに値しません。
 
 
イチョウに向かって右側、金網の下は線路です。このあたりは智頭急行智頭線と姫新線が並行して走っており、両方の列車が
すれ違う光景を見ることができればおもしろいのですが、なかなか。
 
 
 
智頭急行 智頭線
智頭急行 智頭線
 
線路に沿って民家が建ち並び、民家の庭に背の高い柿の木があります。智頭急行智頭線は兵庫県赤穂郡の上郡(かみごおり)駅から
鳥取県八頭郡の智頭駅56.1キロを結んでいます。
 
 
小高い丘の斜面にも柿の大木が。かなり背が高い。
 
 
丘からイチョウと線路が見えます。ススキの陰には迂回路から丘に上がろうとしている人のすがたも。
智頭急行智頭線の線路が見えます。下に姫新線の線路があるのですが、この位置からは見えない。
 
智頭急行智頭線
智頭急行智頭線
 
智頭急行の列車です。智頭線の線路の下は姫新線の線路。佐用駅(画像の左側)まで約600メートル。
 
このあたりは智頭線と姫新線が並行しています。下の姫新線の線路は小高い山の手前で曲がり、智頭線の高架をくぐって
佐用川をわたり、西(左)へ向かいます。
 
智頭急行の終着駅である鳥取県八頭(やず)郡・智頭駅近くは、鳥取方面へ行くとき車で何度となく通りました。沿線沿い道路の
両側にある桜並木が満開ともなると、車を運転しているのが馬鹿々々しくなって沿道の駐車場に車を駐め、花見しました。
 
智頭急行智頭線
智頭急行智頭線
 
イチョウと人はまっすぐ立っているのに、列車は傾いているように見えます。
 
智頭=上郡間56.1キロを結ぶ鉄道計画は1922年に発案され、1966年に工事が始まるのですが、1979年に中止された時点で
95%の路線工事が完了していました。工事が再開されたのは1987年、1994年に智頭線は開業します。私鉄です。
当初赤字だったのが1998年に黒字転換し、現在(2018)も黒字を維持しています。
 
智頭急行 列車
智頭急行 列車
 
智頭急行智頭線はJR西日本の特急と相互乗り入れしています。大阪=鳥取間の乗車時間は約4時間20分でしたが、
智頭線開通により2時間30分に短縮されました。岡山=鳥取間は「スーパーいなば」が運行し、京都=倉吉(鳥取県)を走る
「スーパーはくと」も智頭線へ乗り入れしていて、年間約70万人の利用者があるとか。「スーパーはくと」は智頭急行の車両。
 
ところで、列車の窓をよく見ると、おおぜい人が乗っています。時刻は14時55分。その時間でこれです。黒字に間違いなし。
 
智頭急行
智頭急行
 
上の画像と反対方向、佐用駅から智頭方面へ向かう列車。背後は大撫山(標高435.5メートル)、西はりま天文台公園など。
 
智頭線 列車
智頭線 列車
 
智頭線を走る一両編成列車。
 
姫新線を走る列車は一本だけでした。後ろ姿を見ただけで撮影には至らなかった。
 
姫新線より智頭線のほうが本数は多く、姫新線の列車を見るには1時間くらい突っ立って
いなければなりません。それはなかなか。
 
サザンカ
サザンカ
 
晩秋のサザンカを見ると思い出すのは童謡「たきび」の2番です。
 
 
さざんか さざんか さいたみち たきびだ たきびだ おちばたき
 
昔々、家々の前は地道で、そこかしこに小さな空き地があり、晩秋〜初冬、小道でも空き地でも「たきび」していました。
あれから60年過ぎて、多くの人たちが「ぬくもり」というけれど、たきびのあった時代には「ぬくもり」もあった。
21世紀のぬくもりって何ですか。昔のぬくもりは相互乗り入れでした。言わず語らずお互いにぬくもる心の交流があったのです。
 
サザンカ
サザンカ
 
サザンカは山茶花と書くことを知ったのは子どものころ。茶の字がおもしろかった。
後年、中学生のころだったと記憶しています、奈良の古寺を訪れる途上、いなかの坂道を歩いていたら、母が「お茶の木」と
段々畑の深緑の植物に目をやりました。
 
そうか、大きさはちがっても、葉の形状と色のぐあいがよく似ていると思いました。後に調べたら、支那でツバキ類を山茶といい、
そこから山茶花の「サンサカ」がなまってサンザカ、それが転化してサザンカになったことがわかりました。
 
サザンカ
サザンカ
 
 
佐用都比売神社
佐用都比売神社
 
いままでお詣りすることのなかった「佐用都比売神社」(さよつひめじんじゃ)にお詣りしました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
大撫山 朝霧
大撫山 朝霧
 
大撫山(おおなでさん)は標高435.5メートル。晩秋から初冬、朝霧が佐用町をおおいます。朝霧の撮影のため
県内や近県からやってくる写真愛好家も多いそうです。
 
このあたりに住まいするのは野生のニホンジカ。オスはかなり大きく、体長2メートル弱、肩高130センチ、体重120キロ強。
奈良公園のシカより巨大。野生のシカは生まれて2年経過すると、オスはオスのみで行動します。秋は交尾期。
 
西はりま天文台の夜、シカがどこからともなくやってきて、園内を闊歩するのです。天文台前の駐車場に駐めようとしたとき、
木陰に巨大なシカがいて、ヘッドライトに照らされ姿が浮かび、目がピカッと光った。シカはあわてて踵を返し逃げました。
むこうもびっくり、こっちもびっくり。