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イースト・サセックス州の小さな村アルフリストンは、サウス・ダウンズ南東部の丘を流れるカックミア川と旧知の間柄。
大きく蛇行する川は青みがかった灰色で、上から見ると道路のようだ。
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サウス・ダウンズのダウンズはケルト語の「Dun」から変化したものだという(梅田修著「地名で読むヨーロッパ」)。
サウス・ダウンズは石灰岩層や白亜層の広大な丘陵地である。
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北海道を想起させる風景。相違点といえば整然としていることである。畑のみならず空き地も整然たるおもむき。
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クラージィ・ハウス(Clergy House)のクラージィは聖職者の意。右側が主屋で屋根は茅葺き。
裕福な農家の居宅として1360年ごろに建てられたが、1395年に村の司祭が買取り、教会の収入確保のため貸家となる。
その後の紆余曲折をへて1896年、ナショナルトラストに売り渡される。売却価格は10ポンドだったという。
※19世紀末の10ポンドは現在の貨幣価値に換算すると3万4千ポンド見当※
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クラージィ・ハウスには駐車場がないので、車は村の駐車場にとめ、徒歩でこなければならない。
ナショナルトラストによって初めて購入されたのがクラージィ・ハウスです。
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ナショナルトラストは1895年、3人の司祭により設立された。そのひとりハードウィック・ローンズリーは
湖水地方の鉄道敷設反対運動の指導者だった。
10ポンドという価格はさておき、クラージィ・ハウスは記念すべき物件。
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クラージィ・ハウスはナショナルトラストが購入して以来、庭造りに余念がない。
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数年前に較べると若い庭師が増えた。多くはボランティアであるという。仕事の邪魔になるかと思いつつ話しかける。
快活・純朴な雰囲気は、話しかけた者をしあわせな気分にさせる。そういうことのためにも旅をつづける。
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クラージィ・ハウスの室内には17世紀ごろのイスや調度品にまじって18〜19世紀のテーブル、イスなども展示されている。
どの展示品にもさわるなとか坐るなといった注意書きはなく、かといって触れる人もおらず、これがマナーの国・英国なのだろう。
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この「だまし絵」、よくできている。額から抜けて話しかけてくるかもしれない。
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アルフリストン村と周辺を舞台にした英国映画「ドーヴァーの青い花(原題 The Chalk Garden)」(1964)の
主役デボラ・カーは住み込み家庭教師役。その家の孫娘役にヘイリー・ミルズ。ヘイリー・ミルズの実父ジョン・ミルズも出演。
ヘイリー・ミルズはディズニー映画「罠にかかったパパとママ」(1962年 日本公開)で有名になった名子役。
私が中学生のころ。おもしろかった。
「罠にかかったパパとママ」の原作はドイツの児童文学「ふたりのロッテ」。米国映画「ファミリーゲーム」として1999年、日本で公開された。
おもしろさは「罠にかかったパパとママ」ほどではなかった。みた年齢が違うが、「罠に」はいまみても傑作であると思う。
1995年に公開されたドイツ映画「ふたりのロッテ」はテレビでみた。3つの映画を較べると、「罠に」と「ふたりのロッテ」は甲乙つけがたし。
「ドーヴァーの青い花」にでてくる白亜層の断崖をドーヴァーの崖としているが、あれはアルフリストンから6キロ北のセブンシスターズ。
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道の両側は生垣。この種の生垣はイングランドのいたるところにみかける。
ほとんどの場合、野生植物かとみまごう繁茂ぐあいで、周囲の景観になじんでいる。
初めてイングランドをレンタカーでまわった1999年6月、こうした垣根を生垣とは思わず、野生植物が視界の妨げになっている
と思った。ところがよくよく見てみると、見晴らしきく場所には生垣がない、あるいは背が低い。
景観を守ることを優先して農家も土地所有者もそれなりに配慮しているのだ。さすが英国である。
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小さな塔のようなものはサクソン時代の遺跡。小さな収納庫。
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車を利用する村人とウマに乗る村人、どっちが多いだろう。近場ならウマ。
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スターインは1345年に巡礼者のために建設された宿泊所だった。16世紀に入って宿屋となり、一時はこのあたりの密輸団の
隠れ場所になったこともあるという。1830年、密輸団の頭目がオーストラリアに流罪となって以降、宿として復帰した。
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スターインの食堂の営業時間は月曜ー木曜 12:00−21:00。金曜ー日曜 12:00〜14:00&18:00〜21:00。
アラカルトは6ポンド〜17ポンド。デザートは5ポンドから。料金を抑えているが味はまずまず(2017年8月末現在)。
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晩夏から初秋にかけて、夕刻の風景はなんともいえない。うつろう季節にそれぞれのおもむきはあるけれど、
イングランドのカントリーサイドを旅するなら初夏か晩夏。はじめとおわりの匂いはかぐわしい。
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フォールス・マナーは2006年、シェフとアン・ショウが買い取った。そのころは雑草が敷地の大部分を占め、瓦礫がところ狭しと
ころがっていたという。それでもここを買ったのは、道路から見えないこと、カックミア丘陵に近く見晴らしがきくからだ。
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庭の意匠はイアン・キットソンという造園家によるらしい。
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仕切りがなければ周囲の景観と一体化して境界がわからない。花々も野生かそうでないか判然としない。
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サウス・ダウンズにはフットパスが縦横無尽に走っている。
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セブンシスターズの東、ビーチィー・ヘッドをぬければイーストボーンの町が見えてくる。
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サウス・ダウンズは西のハンプシャー州ウィンチェスターから東のイースト・サセックス州イーストボーンにまたがり、全長170キロ、
面積1627平方キロにおよぶ。「デビルズ・ダイク(悪魔の溝)」については下のバナー「West Sussex」に記しました。
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