2016年6月中旬〜下旬、イングランド・ダービーシャー州のピーク・ディストリクト(国立公園)の町や村に滞在したおり、さまざまなフットパスを
歩いた。その多くは同年、「Peak District」、「Ashfofd」などで紹介したけれど、ラスキル・デイルは一部しか掲載しないまま3年以上経過した。
 
いまごろアップする気になったのは、2019年も9月に入ったというのに35℃前後の日々がつづき、涼をもとめてどこかへ行くにも暑く、
自己慰撫というか、久しぶりに古い画像を見て、気分だけ涼みたい。
 
2018年12月以降、体調が劇的に変化し、長距離ウォーキングはムリだろう。
歩くだけなら、どこを歩いても同じようなものという考えは持たない。英国のフットパスには電柱もレストランも自動販売機もない。そこがいいのだ。
そしてさらによいのは、山ガールや何だらガールもおらず、チャイニーズも皆無。それどころか、すれ違ったのは一組の母子と散歩者数人のみ。
 
ラスキル・デイル
ラスキル・デイル
ピーク・ディストリクトはダービーシャー州の大部分を占め、ダービーシャー州に隣接するサウス・ヨークシャー(北)、ノッティンガムシャー(東)、
レスターシャー(東)、チェシャー(西)、スタフォードシャー(西)にはみ出し、面積は1437平方キロにおよぶ(縦40キロ横36キロの土地を連想してください)。
 
最寄りの町にはバクストン、ベイクウェル、カースルトンなどがあり、いずれも静かで宿泊に適している。なかでもカースルトンやベイクウェルはフットパスの
十字路というべき町で、カースルトンの数キロ先にハザセージ、ベイクウェルから4キロ西にはアシュフォード・イン・ザ・ウォーターからラスキル・デイルへの
フットパス分岐がつらなっている。
 
ベイクウェルからはハドン・ホールやチャッスワース・ハウスまで徒歩圏内(両者ともに約3、5キロ)。ハドン・ホール、チャッスワース・ハウスに関しては
「Bakewell」(下のバナー)を。
 
 
 
 
デイルは谷、または渓谷の意。昔々のヴァイキングの言葉に由来するという。「英国は8世紀末からヴァイキングの侵攻を受け、
11世紀初頭にデーン人の王クヌートがイングランドを支配。アングロ・サクソン年代記によると、最初にヴァイキング来寇があった
のは793年で、ドラゴンが火をふくような不気味な稲妻が走る。その後大飢饉があり、同年リンディスファーンがヴァイキングに
略奪され、人々が虐殺されたと記されています」(梅田修「地名で読むヨーロッパ」)。
 
同著にはまた、「ヴァイキングたちの活動の中心はヨークで(中略)、ダービーシャーなどにその痕跡を多く残しています」とある。
 
 
 
 
「ダービーシャーのダービー(Derby)の‥byを持つ地名がスウェーデン南部やデンマークのシェラン諸島
にも多く見られることから、英国人がデーン人と呼ぶ人々は元スカンディナヴィア南部の人々が中心
だったことがわかります」。
 
「‥by」は語源的には「住まい」とか「開拓地」という意味に言葉だった。最も一般的には農場という意味を持ち、
北欧では一つの入江、平地、谷全体が一つの農場となっており、それは広く何キロにもわたり、一つの領土と
いうべきもので、そのような農場で奴隷や小作人などを含む家族が放牧中心の農業に従事していたのだ。
 
地名はそうした農場の名前を基本としてつけられたのである。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ラスキル川
ラスキル川
 
ラスキル・デイル散策の妙味はラスキル川上流へ遡って歩くことにあり、川の表情の変化を満喫できる。
 
 
 
ラスキル川
ラスキル川
ラスキル川は源流からの長さ約10キロ。下流でワイ川と合流し、ワイ川となる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
魚も簡単に見つけられる。
 
 
 
 
 
 
Lathkill Dale  道しるべ
Lathkill Dale 道しるべ
 
 
 
 
 
 
このあたりではセキレイが飛んでいる。
 
 
崖は石灰岩。
 
 
 
聞こえてくるのは川のせせらぎ、鳥の鳴き声だけ。
 
 
 
 
 
 
崖がせまっているので歩きにくい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
夏草が小道をおおわんばかりに生い茂る。