湖水地方の過ごし方は湖水巡りのみにあらず 小さな町 小高い山を歩くことにあります

ティールーム
ティールーム
アルバストンの町、マーケット通りにあるギラム家代々経営「ギラムズ・ティールーム」。
メニューは有機栽培の各種紅茶、緑茶のほかに無農薬野菜を使ったサンドイッチ。
 
ハムサンド、ツナサンドなどを提供しないのは、ここがベジタリアン御用達の店だから。
茶葉の販売もおこなっているが、店内に流れるクラシック音楽を聴きながら時を過ごすに
しくものはない。建物は18世紀建造。
 
アルバストンの人口は1万2千人ほどで、小さな市場を起点に石畳の道が扇状に広がる。
コニストン湖の南12キロに位置し、湖水地方の中心からかなりはずれているため訪れる人も少ない。そこがいい。
 
 
バロー卿記念塔
バロー卿記念塔
アルバストン出身のジョン・バロー(1764−1848 地理学者)を記念して
1850年、住民の公募寄付によって町を見下ろすホード・ヒルに建てられた。
バローは中国や南アフリカの滞在経験もあり、北極探検のプロモーターともなった。
 
112段の螺旋階段を上るとアイリッシュ海を一望できるが、あいにく扉は閉まっていました。
 
 
アンブルサイド
アンブルサイド
アンブルサイドはウィンダミアとグラスミアの中間にある人口3100人ほどの小さな町。
 
町の規模とは裏腹に本屋の数が多く、これはと思う質の良いガイドブックが並んでいた。
 
 
ブリッジ・ハウス
ブリッジ・ハウス
アンブルサイドにあるブリッジ・ハウスはその名の通り「橋(の上)の家」。
現在はナショナル・トラストの案内所となっている。以下はナショナル・トラストについての法話。
 
湖水地方に住む牧師ハードウィック・ローンズリー、女性活動家オクタヴィア・ヒル、弁護士ロバート・ハンター
が「史的名勝・自然景観地を守るためのナショナル・トラスト」なるものを起ちあげ、リゾート開発に待ったを
かけた。1895年のことである。三人の目的は、美しい自然、邸宅、庭園、城などの歴史的建造物を買い上げ
保存し、次世代への文化遺産たらしめることであった。むろん、政府や他機関の保護、援助はなし。
 
三人でスタートしたボランティア活動であったが、いつの間にかどこからともなく賛同者が集まり、
社会にも認知され、1907年に英国議会で「ナショナル・トラスト法」が成立、ボランティアは国の認可を得た。
「ピーター・ラビット」シリーズの作者ビアトリックス・ポッター(1866〜1943)も途中から活動に参加し、印税で
ニア・ソーリー村に農場(ヒル・トップ)を購入、爾来そこに住みついたことは多くの人の知るところである。
 
彼女はその後(1913年)地元の弁護士と結婚し、ヒル・トップ農場に近いカースル・コテージに転居した。
それからの30年は著作よりも牧羊と農業に専念し、財産はぜんぶナショナル・トラストに寄付したのである。
ポッターの偉大さはすてきな絵本を残したことのみによるのではない、湖水地方の自然を残したことによるのだ。
 
ポッターは36歳から64歳まで24冊の絵本を世に送った。
 
 
コニストン
コニストン
コニストンはウィンダミア湖とコニストン湖によってウィンダミアから隔てられた人口970人の小さな町。
数本の通りのほかには、ごつごつした岩山が接近しているだけで、町がさらに小さく感じられる。
したがって観光客は少ない、と思いきや、なぜか多かった。穴場狙いが増えたのか?
 
ジョン・ラスキン(1819−1900)ゆかりの地で、彼の墓(サクソン十字架を模した石彫)とラスキン博物館がある。
 
 
ブラントウッド・ハウス
ブラントウッド・ハウス
コニストン湖のやや高台ブラントウッドにジョン・ラスキンが28年間暮らした家がある。ラスキンはここで81年の生涯を閉じる。
後にエコロジストとして名をはせたラスキンの弟子ローンズリー(1851−1920)がナショナル・トラスト誕生(1895年)
に寄与することとなる。
 
 
ブラントウッド・ハウス ロッジ
ブラントウッド・ハウス ロッジ
ラスキンはロンドン郊外ハーンヒルで生まれた。シェリー酒商人で富裕層になった父親はラスキンを連れて旅に
出ることが重なり、その影響もあってラスキンは生涯の多くを旅についやした。
 
旅がラスキンをしてエコロジストの観察眼を開き、鋭敏にしたことは想像に難くない。一級の美術評論を残したのも
旅が感性を豊かにしたと思われる。
 
☆ブラントウッド・ハウスとラスキンについては2014年7月中旬アップ予定の「湖水地方夏」=下のバナーをご覧ください☆
 
 
 
オールドマン山頂
オールドマン山頂
The Old Man of Conistonは標高800bほどしかないけれど、登った実感は標高を上回る。
コニストンから多くのハイカーがここをめざしてやってくる。
 
 
 
ウィンダミア湖
ウィンダミア湖
ウィンダミア湖の遊覧船、座席を離れると身体のバランスを保ちにくくなるほどの速度で走る。
旅の敵の一つは雨。湖水地方の天候も変わりやすく、、まとわりついては意気消沈させる類の雨。
この地方での湖上遊覧は雨を計算に入れるべきなのだが、船上の人々はまるで平気。
 
結局どうなったかというと、降った、降った。
 
 
フェルフット公園
フェルフット公園
雨も上がって静けさを取り戻したウィンダミア湖、フェルフット・パーク。

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