湖水地方の過ごし方は湖水巡りのみにあらず 小さな町 小高い山を歩くことにあります

グラスミア1
グラスミア1
麓は植林されているが、山頂(Pikes)は草木がなく、岩肌がときに芝地を突き抜ける。
グラスミアはそうした小高い丘陵に囲まれた魅力的な町。空気のおいしさは絶品。
 
 
グラスミア2
グラスミア2
町の人口は2700人ほどであるが、7、8月ともなると観光客がどっと押し寄せる。
6月は観光客もまばら。大気が澄み切っているので、目に入る何もかもが美しい。
 
 
グラスミア3
グラスミア3
まばらといっても私たちと同じで旅行者はどこからともなくやって来る。北米からが多かった。
イングランドの美しさはスペインやイタリアのそれと趣きを異にする。五十歳で私は魅せられた。
 
 
グラスミア4
グラスミア4
朝な夕な散策する。歩き疲れてお茶にする。旅人にあたえられた愉悦はそこに尽きる。
 
ワーズワース(1770〜1850)はグラスミアで永遠の眠りについている。湖水地方を転々とした詩人は
この町を最も愛したのだろうか。6月の明るい陽光は何事もなかったかのようにふりそそいでいた。
 
 
グラスミア5
グラスミア5
六月の光のなかでは、みるものすべて柔らかく映る。この時間以外には望みえない色の調べ。
 
ワーズワース(1770〜1850)とコールリッジ(1772〜1834)のグラスミアでの親交は有名。
湖水詩人ということばを冠せられたのは上記二名のほかにR・サウジー、テニソンなどであるが、
サウジー、ワーズワース、テニソンは英国詩人の最も誉れ高い桂冠詩人の称号を授かっている。
 
湖水地方が多くの収穫をもたらしたことは、「簡素な生活、高い思考」というワーズワースの言葉が物語っている。
 
 
グラスミア6
グラスミア6
日射しの強い日中は汗ばむほどだが、日が陰ると途端に冷えてくるのは湖水地方に限らずイングランド北部の特長。
ゼラニウムが意外にも早く咲いている。
 
 
ラングデイル
ラングデイル
湖水地方の至るところにフットパスがあり、散策には事欠かない。
眼前に高さ800b弱の頂をみれば明日にでも登りたくなる。
そのくらいなら軽装・日帰りでもいけるし、初心者でもだいじょうぶ。
 
英国(ブリテン島)の最高峰はスコットランドにそびえるベン・ネヴィス。
とはいっても標高1344b。なんだ、そんなに低いのかというと、そんなに低い。
 
 
ラングデイル山頂1
ラングデイル山頂1
ブリスコ・パイクから臨むラングデイル・パイク(パイク=Pikesは山頂の意)。
ノルマンの征服をもってしても山岳地帯の地主らを屈服させることはなかった。
 
「谷間の住人」(デイルズメンDalesmen)と呼ばれる独立心に富む小地主たちは
19世紀に至るまで存続し、この地方の文化に刻印をとどめている。
 
ラングデイルの二つの頂の、人間に登られるのを厭うかのような武骨さ。
 
 
ラングデイル山頂2
ラングデイル山頂2
「ラングデイル山頂1」中央部の突出した岩上がここ。ここからは逆にブリスコ・パイクを臨む。
 
ラングデイルの頂は標高780b、ブリスコよりわずか78b高いだけなのだが、
登山やトレッキング経験者には既知のごとく、ブリスコ山がかなり低くみえる。
 
登山などとは面妖な、装備は軽装、ちょっとそこまで散策にという気分でOK。
それにしても、トレッキングの快感ここに極まれりとでもいいたくなる爽快さである。
 
 
自然の変化
自然の変化
低い山でもこうした状況は度々あって、平地からの上昇気流でみるみるうちに。

PAST INDEX NEXT