湖水地方の過ごし方は湖水巡りのみにあらず 小さな町 小高い山を歩くことにあります

ビッグハンド
ビッグハンド
ダーウェンント湖の名物というほどでもないのだが。
ガイドブックに載っているサプライズ・ビュー(ダーウェント湖の見晴らしがきく場所)よりサプライズ。
 
サービス精神旺盛な方がいて、魔法で両手が大きくなった模様の撮影をと言って‥。
 
 
アッシュネス橋
アッシュネス橋
ダーウェント湖へは車でも行けるが、幅が狭くて車の通行不能なアッシュネス橋を徒歩で行くのがベスト。
 
とはいっても、ハイカーでもなく自転車もなく非力な身としては、重い荷物を車で運ぶほかありません。
 
 
ダーウェント湖1
ダーウェント湖1
ジョン・ラスキンは五歳のころ、乳母に連れられダーウェント湖へ行き、湖上に突き出た坊主岩で見たものを
「現代画家論」(1856)に記している。それは、岩にからみついた木の根と、そのあいだに見えた暗い湖面
であるという。そのときラスキンは『畏れと入り混じった強烈な悦びを感じ、それからも丘の近くや、山地と山の
風景のなかに連れて行かれるたびに、他の何ものからも得られぬ大きな悦びを味わったものだ‥‥
極小のものから極大のものにいたる全自然のうちに、私は絶えず聖なるものを感じとった。それは歓喜と
混じり合った本能的畏敬の心だった』(高橋哲雄「イギリス歴史の旅」より)とも述べている。
 
 
ダーウェント湖2
ダーウェント湖2
ダーウェント湖は長さ5q弱、幅2q強の湖である。貸しボートで端から端まで漕いで行ける。
体力、筋力が充実していれば造作もない、が、私は遠慮した。波はなくとも、よる年波で筋肉痛が恐ろしい。
 
 
ダーウェント湖3
ダーウェント湖3
移り変わる光景をじっくり味わうのなら、湖から約1、5kmのケズィックに宿を取ればよい。
ケズィックは、ラトリグの丘(後述)に登る場合や、スキドゥ山・ハイキングの拠点ともなっている。
 
 
ダーウェント湖4
ダーウェント湖4
車を走らせることが目的化しがちなのは湖水地方(カンブリア州)にかぎったことではない。
だが、車窓から風景を眺めるだけでは現実感が稀薄になることもあってつまらない。
それで車を停めて歩く。無上の快楽である。快楽を熟知する人は最初から歩いているけれど。
 
 
 
キャット・ベルズ
キャット・ベルズ
キャット・ベルズ(Cat bells)はダーウェント湖の西リトルタウン(村)の北東2キロに位置し、軽いウォーキングの定番。
湖畔の村スウィンサイドからも2キロほど。画像はダーウェント湖の反対側(西)ニューランズ(New Lands)の景観。
 
 
ラトリグの丘
ラトリグの丘
ラトリグ(Latrigg)の丘から臨むダーウェント湖。
 
登山用装備は不要、どの丘もそう高くはないからハイキンギ気分で登るだけである。
登ったあとは360度の大パノラマを眺めてすごす。登った者にしか味わえぬ快感。
 
 
ひかりのカ−テン
ひかりのカ−テン
ダ−ウェント湖自体は特になんということもない。オーストリアやカナダなどの湖のほうが水の色も美しい。
 
屈斜路湖にしてもここよりは美しいように思える。刻々と天候は変化し、霽れたのも束の間、
ガスが低くたれ込め、間断なく霧雨が降る。遠景に湖がなければ、そして光がなければ、殺伐と
した風景にちがいない。だが、そこはやさしい光に満ちているのだ。
 
こういう風景に出会うために旅に出るのかもしれない。
 
 
スキドゥ
スキドゥ
スキドゥ山の標高は931b、イングランドでは四番目に高い山なのである。
なにしろイングランド最高峰のスコーフェル・パイクは978bなのだから。
 
このあたりの雨量は相当なもので、濃霧から細かい水滴になって落ちてくることもあるし、
思いもかけない驟雨となって降り注ぐこともある。しかもすべては闖入者のごとく不意に訪れる。
 
あたりには一本の草木さえなく、剥き出しの不揃いな小石だらけだが、色鮮やかな少女がいた。
この少女、地元でもないのに用意がいい。かといって、小糠雨でも、降り続いたらタイヘン。
ま、霧雨がしばらく続いた後、やんだからよかったけれど。
 
少女のうしろに見えるのはダーウェント湖ではなくバッセンスウェイト湖。ケズィックの北西6q。
 
 

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