Upper Slaughter
Upper Slaughter
 
コッツウォルズの宿をどこにするか、迷ったすえに選んだ17世紀のマナーハウス。
アッパー・スローターにひっそり佇み、緑に囲まれた外観とは対照的な
モダンで粋な客室、美しい庭が魅力。米国からの泊まり客が多く、
その数人と話すと、遠い祖先を偲んでいるといっていた。
 
Upper Slaughter
Upper Slaughter
 
ホテル中庭のテラス部分。宿泊客のほとんどは家族全員で来ており、子供も十数人見たが、
中庭はいつもガラ空きだった。都会の喧噪から逃れ、リフレッシュするには適したホテル。
 
Upper Slaughter
Upper Slaughter
 
ホテル(マナーハウス)の庭
 
カントリーサイド
カントリーサイド
 
カントリーサイドの美観を保つのに欠かせない垣根。
 
雲がなだらかな丘を横切り、垣根に挨拶する。初夏の日差しが一服して、
小動物と私たちの束の間の憩いの場となる。空と大地と生物とが一体化する。
 
☆上の石垣画像はアッパー・スローターからロゥワー・スローターへの小道☆
 
カントリーサイド
カントリーサイド
 
 
 
Lower Slaughter
Lower Slaughter
 
なんの変哲もない田舎の夕暮れ ちいさな川(アイ川) ちいさな橋 緑陰 魂の安息所
人が決めた世界遺産ではなく 自分が発見した自分遺産 なによりも深く心に残る風景
 
アッパー・スローター村からロゥワー・スローター村までは徒歩圏内。田園風景を眺めながら25分も歩けば到着。
夕陽がアイ川の小さな橋にあたって黄金色に耀く光景。向こうから祖父、父が笑顔で歩いて来るような感じがして。
 
Lower Slaughter
Lower Slaughter
 
ストゥ・オン・ザ・ウォルドからの帰路に出会ったこの光景をどういい表せばよいのだろう。
あの季節、あの場所、あの時刻でしかみることのできないスローター村の夕暮どき。
そこに居合わせただけで満たされ、ほかに何もいらないと思わせる光と空気の清々しさ。
 
バイブリーはたしかに美しく、キャンバスに描くにせよ写真撮影するにせよ恰好の素材となる。
この部屋でもバイブリーの写真が最も多い。しかし私は、アッパー・スローターと
ロゥワー・スローターのほうがより忘れがたい。両スローター村(スローターズ)から
ストゥへの主要道路に通じる途中の曲がりくねった小道にえもいわれぬ風景が点在する。
 
細い道の両側に繁茂する足長の雑草が風になびいて、縦横無尽に大きく揺れる。
撮影できなかったのは美しさにみとれていたのと、駐車するには道が細すぎるからだ。
 
 
Lower Slaughter
Lower Slaughter
 
かつての水車小屋。もちろん今も水車は回っている。現在はギフトショップとして知られているが。
 
木彫りの水鳥(主にマガモ)、各種ハチミツ、ジャムなど。この地方ならではの意匠が凝らされている。
私たちは初夏の日差しを浴びながら1時間ほど歩き、汗をかいていたのでアイスクリームを食した。
シャーベットはほのかに甘く、コッツウォルズののどかな風景に溶けこんでいった。
 
Lower Slaughter
Lower Slaughter
 
車が走っているのに、いいようもなくのどかな風景。
小さな橋に佇んでいるのは人であるが、マネキンが立っているようにみえる。
この家々は、この地方特産の石材ライム・ストーンを使っている。
 
ライム・ストーンに夕日があたると、えもいわれぬ「はちみつ色」に耀く。
 
Lower Slaughter
Lower Slaughter
 
上の画像と同じ場所。ちがうのは時間だけ。一日でスローター村がもっとも美しい時間。
森羅万象ひとつひとつをいたわり、熟させる黄昏どきのひかりは、極上のはちみつの
ように味わい深く、過ぎゆくときを惜しんでいるようにも思えてならない。
 
英国のカントリーサイド、旅人が旅の果実をわかちあう夕暮れの小径。
 
 
藁葺きの民家
藁葺きの民家
 
 
Shade of Trees
Shade of Trees
 
イングランドのカントリーサイドをゆったりドライブする。無上の快楽である。
6月に車を走らせると、木々と草々の緑が目に飛び込んでくる。
道の両側の、あざやかな葉っぱをつけた枝がトンネルをつくる。
その下を何度もくぐる。何度くぐっても爽快さは尽きない。
 
未舗装の道でも、夏のスペインのように、ひとたび車を走らせれば土埃の立つ道
とは大違い、前に車がいても視界をさえぎられることはなく、追走する車がいても
迷惑かけずにすむ。そしてそこはスペインではなく、道の前後は車の影さえなかった。
 
北米、オーストラリアと違い、30分たって同じ景色が続くこともなく、刻々と景色は変わる。
その移り変わる風景が、なんともいいようのないやさしさに満ちあふれているのだ。
 
ただ走り続けるのはもったいないような気がして車を停め、風の色と調べをはかる。
時間は流れているようで止まっている。カントリーサイドに魅了されるひとときである。

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