イングランドのカントリーサイドをゆったりドライブする。無上の快楽である。
6月に車を走らせると、木々と草々の緑が目に飛び込んでくる。
道の両側の、あざやかな葉っぱをつけた枝がトンネルをつくる。
その下を何度もくぐる。何度くぐっても爽快さは尽きない。
未舗装の道でも、夏のスペインのように、ひとたび車を走らせれば土埃の立つ道
とは大違い、前に車がいても視界をさえぎられることはなく、追走する車がいても
迷惑かけずにすむ。そしてそこはスペインではなく、道の前後は車の影さえなかった。
北米、オーストラリアと違い、30分たって同じ景色が続くこともなく、刻々と景色は変わる。
その移り変わる風景が、なんともいいようのないやさしさに満ちあふれているのだ。
ただ走り続けるのはもったいないような気がして車を停め、風の色と調べをはかる。
時間は流れているようで止まっている。カントリーサイドに魅了されるひとときである。
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