上はグリヴェルズ・ハウス(Grevel's House)。1380年、ウィリアム・グリヴェルが建てた。
かつて古い絹工場だった四つの建物はハイストリートに面しており、
建築に使用されている石材はコッツウォルズ特産のライム・ストーン。
ライム・ストーンは特別珍しいものではなく、コッツウォルズに行けばどこでも
これを使った民家を目にすることができる、ありふれた素材なのである。
1902年、アーツ&クラフト運動の提唱者のひとりチャールズ・R・アシュビー(1863〜1942)
がチッピング・カムデンに移住した。アシュビーはその前、ロンドン・イーストエンドに住まいした
建築家&工芸デザイナーで、田舎での斬新な生活を志向して移住を決意したのである。
アシュビーの移住した頃、農業の機械化による雇用者リストラで町はさびれつつあった。
彼はイーストエンドの工芸職人とその家族150人を伴っていた。それは町の人口の10%だった。
彼らは町の建物を自由に使用でき、絹織物工場跡に工房が、住民のために工芸学校がつくられた。
しかし経営ははかばかしくなく、この試みは失敗、6年後グループは解散を余儀なくされる。
多くの職人はロンドンへ戻ることとなったが、おそらく後ろ髪をひかれる思いだったろう。
アシュビーと共に移住してきた弟子の三代目(孫)が今もこの町の同じ工房で銀細工を
作っている。銀製品はおおむね受注によって作られ、工房見学も製品購入もできる。
高価な銀細工のほかにマーケット・ホールをデザインしたペンダントも購入可。
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