2023年7月1日    たそがれて横浜
 
 航空会社格安キャンペーン全国どこでも6600円の最後は横浜。キャンペーン第1弾、第2弾で札幌、秋田、山形はアクセス殺到して購入できず松山と仙台を旅した伴侶が、第3弾で羽田行き6月27日発(復路28日)をゲットした。
48年前、伴侶は渋谷から東横線で日吉へ行き、そのあと横浜・山下公園を見学したと思うが、昔聞いた話で、記憶は定かでない。
 
 1969年初秋、小生は渋谷駅で同好会の仲間と待ち合わせ、東横線「菊名」駅で降り、1年後輩の自宅を訪問。訪ねたのは確かなのだが、菊名駅で下車したかどうかを忘れている。
前回、伴侶が横浜へ行ったのは1979年6月。同年5月、ブルージュ、ハイデルベルク、インスブルック、グリンデルワルトなど小さな町を巡り、TGVにも乗る18日間の旅から帰国し、ツアー会社恒例アルバム交換会が3週間後に東京で開かれた。
 
 関西からの参加組5人のひとりだった伴侶は、旅が終わったばかりと出席に消極的だったけれど、相部屋(当時はそういうシステム)の年長女性が世田谷区深沢に住んでおり、自宅に最低2泊はしてもらいたいと力説、行くなら横浜市保土ケ谷区の社宅に住む高校時代の親友にも会おうと思った。
 
 親友は2年前結婚、出産も終えて育児に追われていた。伴侶が連絡すると、ぜひウチに泊まってくれと言い、「赤ちゃんがいるから遠慮したい」と言っても、赤ちゃんのひとりやふたりどうとでもなると言って聞かない。
年長女性は、赤ちゃんがいるならタイヘンだから子どものいないウチに泊まれとすすめる。その方・諸沢さんのご主人は大手化粧品会社研究室、親友ハムの旦那さんも理系で大手電子機器メーカー勤務。
 
 それでどうしたかというと、一泊目は諸沢さん宅、二泊目は横浜の親友、三泊目はまた諸沢さん宅となる。
諸沢さんは欧州旅行で知り合った都内在住の新婚旅行カップルとも交流があり、三日目、そのカップルがぜひウチにも来てくださいと主張。都内一泊のつもりが予定変更。
 
 新婚カップルの自宅へ行くと、新郎がコーヒー豆をがりがり挽いてドリップ式コーヒーを淹れてくれたらしい。過去に聞いた話で小生はほとんどおぼえていない。伴侶が今回話題にしてその件を思い出す。小生が「諸沢さんの写っている写真をぜんぶ焼増ししてくれた」と伴侶は言う、が、思い出せない。
 
 東京組のほとんどが出席したアルバム交換会。3週間毎日行動を共にし同部屋で過ごした仲間は格別。
 
 翌日ハムのところへ行き、夕飯をつくろうということになり、海老フライで意見が一致。一緒に食材を買い、伴侶がほかにもつくろうと提案した。ポテトサラダ、酢の物、もう一つ。夜ハムの旦那さんが帰り、食卓テーブルにならんだご馳走を見て「こういう料理がいいなぁ」とつぶやく。そのせりふで、ふだんは一品奉仕ではないかと思いました。
 
 三日目、諸沢さん宅へ。彼女は夕食にビーフ・ストロガノフをつくったと言い、ご馳走になります。諸沢さんが、「チーズケーキはレシピ通りに作ればうまくできるのよ」と言い、帰宅して作ったら、色も質感も味もよく満足。
伴侶の話を聞いていると食べものに関することが多く、食べものを通して抜群の記憶力を保っているのかもしれない。それから44年、たそがれても脚力を維持し、いったん旅路につけば一日18000歩。
 
 横浜のビル群をひとりで歩き、われにかえると過去は追体験され、44年を一気にさかのぼる。大昔もきのうの一部にすぎません。いや、もしかしたら、きのうもきょうも昔の一部なのかもしれない。
 
 大阪のアベノハルカスもまだ行っていないのに、ついでにスカイツリーへ行った、人が少なくゆっくり見学できてよかった、高いところが好きなのは「ジャックと豆の木」の影響だと思う、と楽しげな伴侶。たしかに「ジャックと豆の木」はおもしろい。3歳前後の伴侶が手放さなかったのは「さるかに合戦」。そしていまでも「かにの味方」です。
 


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